古事記って聞いたことありますよね。知っていることというと、昔に作られた書物ってことでしょうか。
でも、それ以外のことは何もわからない。多くの人がそうだと思います。
ところで、因幡の白兎やヤマタノオロチの話はどうですか?
ちょっとは知っていますよね。だけど、ちょっとだけ。だから、やっぱりモヤモヤ。
これらの話は古事記に載っています。
せっかくなので、そのモヤモヤだけでもスッキリさせておきませんか?
古事記のあらすじを動画で簡単解説
実は、我々と違って戦前の人たちは、古事記や日本書紀のことを良く知っていたんですよ。
では、なぜ我々はこんなにも無知なのか?
不思議ですよね。それもこの記事を読めばわかります。
この記事では、あっちゃんことオリエンタルラジオ中田敦彦さんが古事記についてわかりやすく解説してくれている動画を紹介します。
そして、その動画のおおまかな内容を示して皆さんに読んでもらうことで、古事記のあらすじや成り立ちなどを知ってもらいたいと思ってます。
さらに、できればそのまま動画も観てもらえれば、よりわかりやすく頭に入るのではないでしょうか。
また、動画紹介とともに笑顔度グラフを添えておきました。笑顔度グラフとは、私がこれらの動画を観ていたときの表情を特殊なカメラで撮影し、時々刻々の私の笑顔の度合いをグラフ化したものです。
つまり、動画を観ながらどれだけ楽しんでいたかを示したものになりますので、面白そうかなという部分を選んで観る際の参考にしてみて下さい。
古事記の構成、および日本創世にまつわるあらすじ
まずは古事記の構成についての解説から始まり、イザナギとイザナミによる国生みの物語です。
概要
Part① 古事記とは
日本人にとっての古事記とは、ユダヤ人にとっての聖書と同じ。
上中下の三巻に分かれている。
上巻は神々がどのようにして日本を作ったのかについての神話、中巻は初代天皇から15代応神天皇までの日本を平定する過程が描かれている。
そして下巻の内容は、日本を平定した後の大和政権内部での皇位継承に関する内紛を経て33代推古天皇に至るまで。
つまり、神々が日本を作りその子孫が天皇であるという話であり、ユダヤ教の聖書と似ている。
しかし、一神教のユダヤ教と違って、神々が多数いる多神教である。天地創成に関する記述もユダヤ教と異なり、まず世界がありそのあとに神が生まれたとされている。
Part② イザナギとイザナミの国生み
国作りを任された二人は、天界から世界をコロンコロン?とかき混ぜるとオノゴロ島ができる。
そのオノゴロ島に降り立って、二人は出会うところから始めて(既に出会ってるけど)、二人で力を合わせて島を作る。
イザナミは最初に淡路島を産み、次に四国と島を産み続け、日本の国土を形成する。
国土を形成した後は神々を産むが、火の神を産んだときにイザナミが死んでしまう。
イザナギとイザナミによる国生みの詳細については、以下の記事を参照ください。
Part③ イザナミに会うため黄泉の国へ行くイザナギ
死んだイザナミは黄泉の国に行ってしまい、寂しいイザナギはそこへ会いに行き、地上に帰ろうと呼び掛ける。
地上に帰してもらえるようイザナミが交渉することになり、交渉の間は自分の姿を見ないようイザナミからイザナギは諭される。しかし、イザナギはその約束を破ってしまう。
すると、イザナミから刺客が放たれ、イザナミは山ブドウやタケノコ、桃を使ってなんとか刺客から逃げることができた。最後にはイザナミが追ってくるも、岩で出入口を閉ざしてなんとか難を逃れる
地上に戻ったイザナギが水で体を洗って清めると、アマテラス、ツクヨミ、スサノオが産まれた。
Part④ アマテラスとスサノオ
アマテラスは天界を、ツクヨミは夜の国を、スサノオは海を任される。
しかし、スサノオは海を治めるのを放棄してわがままな振る舞いをしたため追放される。
追放されたスサノオはアマテラスが治める天界に行くが、そこで揉め事を起こす。
そして、それに心を痛めたアマテラスは洞窟に隠れてしまう(天の岩戸隠れ)。
アマテラスを洞窟から引き出すため、知恵者のオモイカネの発案でアマノウズメが踊って楽しい雰囲気を作る作戦を実行したところ、見事に作戦は成功する。
このときの作戦内容については以下の記事に詳しく書いてます。
一方、一連の事件のためにスサノオは天界を追放され、地上に降りることになる。
オオクニヌシにまつわるあらすじ
スサノオが地上に降り立った以降の物語です。
概要
Part① スサノオによるヤマタノオロチ退治
地上の出雲に降り立ったスサノオは、ヤマタノオロチに悩まされている老夫婦から退治を依頼される。
酒を飲ませて酔ったところをやっつける作戦を立てたスサノオは退治に成功し、お礼に老夫婦から娘のクシナダヒメをもらい受ける。
また、退治したヤマタノオロチの体内から立派な剣が見つかり、とても立派なので天界にいるアマテラスへ贈った。これがのちの三種の神器の一つとなる草薙の剣である。
その後、スサノオはクシナダヒメと仲睦まじく暮らした。
スサノオによるヤマタノオロチ退治について、詳しくは以下の記事まで。
Part② オオクニヌシと因幡の白兎
スサノオとクシナダヒメの子孫であるオオクニヌシは、異母兄弟たちとともに評判の高いヤガミヒメのところへ求婚しに向かうことになった。
オオクニヌシは異母兄弟たちから疎まれいたので彼らの荷物を持たされ、一行のなかで最後尾を歩いていた。
途中、一行はあるウサギに出会った。
ウサギは隠岐の島から海を渡る手段としてサメを欺いて利用し、それが露見して毛をむしり取られ、痛みに苦しんでいた。
一行の前半を歩いていた異母兄弟たちはわざと偽りの回復法を教えたが、オオクニヌシは正しい回復法を教えてやった。
すると、体が回復したウサギは、オオクニヌシに対し「ヤガミヒメはあなたを選ぶでしょう」と予言した。
果たしてヤガミヒメのところに到着し皆が求婚した結果は予言通りになったのであった。
ところが、この結果に納得いかない異母兄弟たちはあの手この手でオオクニヌシに制裁を加えるようになり、オオクニヌシは二度も死ぬことになる。
しかし、神々の計らいでそのたびに生き返り、ついにオオクニヌシは黄泉の国へ避難することとなった。
Part③ オオクニヌシとスサノオ
黄泉の国ではスサノオが娘スセリヒメと暮らしていた。
二人に会ったオオクニヌシはスセリヒメに惹かれるが、スサノオは気に食わない。
そこで、スサノオは自宅にオオクニヌシを宿泊させてその間に試練を与えた。
命の危機を迎えながらもオオクニヌシはスセリヒメの助けを得てそれら試練を乗り越えるが、ついにはスセリヒメと共に逃亡を図る。
逃亡は途中で露見するが、最後にはスサノオもオオクニヌシを認め、「娘を頼む。出雲はお前が治めろ。」とのメッセージで送り出すのであった。
天つ神の支配拡大にまつわるあらすじ
地上に戻ったオオクニヌシが治める国を、天つ神の代表アマテラスが狙います。
さて、どうなるのでしょう。
概要
Part① 出雲の国譲り
オオクニヌシが治めている出雲の支配を狙って、天界のアマテラスが家来を遣わす。二度に亘って遣わすが、一向に何の音沙汰もなく帰ってこない。
そこで、刀の神を遣わしたところ、刀の神はオオクニヌシの息子と戦いに勝ち、オオクニヌシから国を譲ることの承諾を得た。
ただし、オオクニヌシは引き換えに出雲に大きな社を作ることを求め、アマテラスもこれを承諾した。
こうしてできた大きな社が現在の出雲大社であるとされる。
オオクニヌシの息子タケミナカタと、アマテラスが派遣した刺客タケミナカタの勝負について詳しくは、以下の記事を参考に。
Part②ニニギ
アマテラスは、日本を治めさせるため孫のニニギを地上に遣わした。
ニニギは現在の宮崎県高千穂に降り立ち、妻となる娘を探したところサクヤヒメに出会い見初める。
サクヤヒメの父は喜んでサクヤヒメを差し出すとともに、サクヤヒメの妹イワナガヒメもニニギのもとに送り出す。
ところが、イワナガヒメを気に入らなかったニニギは、彼女だけを父のもとに送り返してしまう。
しかし、これが原因で本来は寿命のない神であったニニギが、寿命のあるヒトになってしまう。
それは、イワナガヒメには永遠の命、サクヤヒメには栄華の意味が込められてところ、片方の受け取りを拒否したからであった。
そして、そのニニギの子孫から初代の神武天皇が産まれることになる。
ちなみに神武天皇に関する逸話はこちらの記事を参照下さい。
Part③ ヤマトタケル
12代景行天皇の息子のひとりにヤマトタケルがいた。
ヤマトタケルは、父の命令を勘違いしたとは言え兄を殺してしまうほどの凶暴さがあり、それを恐れた父の景行天皇が自分のもとから遠ざけるために九州のクマソ征伐を命じる。
クマソを征圧したヤマトタケルは、大和への帰還途上、出雲に立ち寄り、出雲をも征圧する。
その後、大和に戻ったヤマトタケルは、次に東国の征伐を命じられる。東国の征伐でも多くの功績を挙げるが、あるとき山の神の祟りに遭って命を落としてしまう。
ちなみに、別の文献では少し違ったヤマトタケル像が描かれており、それについては、以下の別記事に書いています。
Part④ 神功皇后
ヤマトタケルの息子である仲哀天皇に皇后として神功皇后がいた。ある時その神功皇后にアマテラスが宿り、新羅を攻めろとの神託を仲哀天皇に授けた。
しかし、仲哀天皇は神命を受け入れなかったために崩御する。そこで、代わって神功皇后が自ら新羅に攻め入り、これを征服した。
古事記の意義
最後に、これまでのような物語の解説とは打って変わり、ここでは少し真面目な、でも、熱いあっちゃんの解説となります。
古事記編纂の目的や背景、日本書紀との比較、そして今「古事記」を学ぶ意義などを語ってくれています。
一番最後には、古事記に秘められたミステリーについての話もあり、必見です。
概要
編纂の目的と背景
古事記は、天武天皇の命を受けて稗田阿礼が各地に伝わる物語を集めて暗誦したところに起源がある。
天武天皇の存命中には編纂が終了せず、元明天皇の代になって完成する。
編纂の目的は、神代の昔から天皇家が日本の支配者であることを国内に向けてアピールするためである。
一方、古事記と並び称される日本書紀も天武天皇が編纂を命じたものであるが、こちらは国外に向けて日本という国をアピールするための歴史書である。
また、天武天皇の治世は、一時期分裂していた国内が一つにようやくまとまった頃であり、国外的には中国に強大な統一国家ができており、中央集権化と朝廷の権威強化を図る必要があった時代であった。
古事記と日本書紀の違いについては、以下の記事に詳細を書いていますので合わせてご一読下さい。
国家としての古事記や日本書紀の扱いの変遷
奈良から室町時代までは日本書紀が正式な歴史書であり、古事記はサブテキストの扱いであった。
江戸時代に入ると本居宣長が古事記の良さを見出し古事記伝を著すといった動きがあり、明治時代になると国家神道の政策の一つとして古事記と日本書紀が教科書に掲載されるようになった。さらに、戦中時代になるとその国家神道の傾向が強くなる。
しかし、戦後は一転して国家神道が否定され古事記や日本書紀も教科書から排除されたため、現代人の多くは古事記と日本書紀に疎くなってしまった。
古事記のミステリー
古事記では出雲の国の存在がほのめかされながらも、日本書紀を始めその後の歴史書に明確な記録がない。
また、日本の象徴とも言うべき富士山に関する記述が古事記には全くない。
まとめ
- 古事記は神々が日本を作りその子孫が天皇であるという話で構成されており、日本人にとっての古事記とは、ユダヤ人にとっての聖書である。
- 国家としての古事記の取り扱いは時代によって変遷があり、現代はまさに古事記を見直し自由に議論できる時代である。
- 記載内容についてはまだまだ未解明な部分があり、興味深いミステリーが多くある。
関連書籍
下記の本は平易な言葉で古事記の逸話が書かれており、また大学の先生の監修による解説や豆知識が所々に入っています。
例えば、初期に男女の性もなく生まれた神様の名前「タカミムスヒ」と「カムムスヒ」に共通して入っている「ムス」には「物の成り出る」意味が含まれていて、現代の「苔が生す(ムス)」や「息子(ムスコ)」「娘(ムスメ)」といった言葉にも現れているといったものです。
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